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論文での時制


現在完了の使い方を中心に。
(実は、時制はさっぱりわかりません。情報が矛盾しているのはそのせいです。)


Reputation, reputation, reputation! O, I have lost
my reputation! I have lost the immortal part of
myself,
「名誉、名誉、名誉!ああ、私はもはや名誉を失ってしまった。最も大切なものを失ってしまったのだ。」
--- Othello, Act 2, Scene 3

オセローの優秀な副官Cassioは、悪党イアーゴーにそそのかされ泥酔し詰所で刃傷ざたを起こしてしまう。信頼していた部下の見苦しい失態にオセローは怒り、Cassioを解任する。面目を失ったCassioの絶望。
(本当は「名声」かも)

Liftjpg.jpg
「エレベーター故障中。業者には連絡済み」
だからすこし待ってね、とか、業者にはもう連絡しなくていいよ、ってこと

(英国の研究所の実験室でみた張り紙。こういうときは冠詞はいらないんだな。)

原則


単純過去:単に過去の出来事を過去のものとして記述するだけ。

現在完了:過去に起きた出来事によって、現在、何かしら重要な影響を受けていて、その現在の状況や関心事について(暗に)記述する場合に使う。現在が問題なので、副詞でも意味からも、いつ起きたかを示してはいけない。


現在完了
I have lost the key of my car.
鍵をなくした事自身ではなく、車に乗れなくて困っている事を言いたい。だから、いつ無くしたかは問題ではない。「いつだっていい!おれは今、車にのりたいんだあ!」(ちなみにa keyだと当面あんまり困っていない。車を盗まれる心配はあるが。)

単純過去
I lost the key of my car yesterday. But, Eriko found it for me soon.
今度は、鍵をなくした昨日の時点の事を話しているので、過去。また、は鍵を持っているのだから、現在完了have lostは使えない。


現在完了
I have lived in Abingdon for eight years.
これは、「8年前に引っ越してきて、今でも住んでいる。」という事。今も住んでいるから、過去形は使えない。でも「住んだことがある」の経験とどう区別するんだろ?
単純過去
I lived in Abingdon for eight years.
過去にすると、「8年間住んでいた。(でも、今はOxfordに住んでいる。)」(もしかすると過去完了にすべきかもしれない。)



Urecy has bought a semi-detouched house in Abingdon.
Urecy bought a house, and he is going to live in the house.
家を買ったのは過去だが、「家を買った」=「近々そこに住むつもりだ」という事で、今考えている予定を含んでいるから、過去形にはできない。一方、買ったはいいが、今のところどうする気もなく、ほっとくつもりならば、過去形でもいい。

semi-detouched houseは英国での標準的な住宅で、二軒の家が壁の一面と共有してくっついて1つの建物になっているものです。きっちり左右対称で、二所帯の玄関はもちろん別です。


(朝、頭を抱えてうめきながら)
I have drunk bitter too much.
「う〜ん、飲み過ぎた。頭ががんがんする。」てな感じ。つまり、いま「二日酔いで気持ちが悪いよ〜」と言いたいのであって、昨日のんだビールの事を話したいわけじゃない。思い出したくもないか。


I drank with Eriko yesterday.
「昨日Erikoと飲みにいったよ。」のんだ事自体を話しているから過去。



つまり、現在完了か過去か、は筆者の関心の置き方で決まる事であって、文法的に決まるわけではない。暗になにがいいたいかが重要。従って、ひとつの論文の中で時制が移っていく事は可能。しかし、この現在完了を過去にしてもたいした間違いではないので、自信がなかったら過去にしておけば大丈夫。



現在完了:いつ使うか?


現在の自分の研究との関連で、他人あるいは自分の過去の研究を紹介する場合 この結果は自分の論文と関係があるんだよ、と暗にいいたい。でも過去でも問題ない。
  • Fujimura et al.have discovered an anomalous antiferromagnetic ordering in this system.
  • In recent years, AFQ orderings in tetragonal compounds have been reported.
  • We have previously reported that HoB2C2 is the unique AFQ compound..
  • Much attention has been paid to multipole orderings.

ただし、発見の年、場所など時点を含んでいると必ず過去。関心が完全に過去の事象の説明にあるから。理由や方法で修飾された場合も過去。発見時の行為が問題だから。
  • The first AFQ ordering compound in DyB2C2 was discovered in 1999.
  • Dr. Cuzui reported the new thory regarding AFQ orderings in Sendai.
  • The first AFQ ordering compound in DyB2C2 was discovered by detailed magnetisation measuremens.



現在を含む漠然とした時期なら 現在完了

  • Much attention has been paid to multipolar orderings in the past ten years..
  • Much attention has been paid to multipolar orderings in the last two decades..
  • Much attention has been paid to multipolar orderings in recent years..


3:過去に発見された一般的事実、真理


時制の一致を無視して 現在形でかく。
  • It was found that Fe is a ferromagnet.


4:実験方法は過去


論文の中で、実験方法だけは間違いなく過去の出来事の記述だから。普遍的でもないし。一方、実験事実は未来も変わらない(はず)。

5:Abstractの時制


Abstract中でも、その論文の行為に関連した動詞は 現在形でいいらしい。ただし、私は現在形を使って閲読者に怒られた事がある。で、現在完了にしたら通った。でも、別な論文で現在完了で書いたんだけど、英語校閲にだしたら全部現在形になおってきた。どっちなんだあ?英語についてはレフリーよりは校閲者を信じた方がいいかな?
  • This paper reports mechanism of AFQ orderings..
  • A new chopper spectrometer is proposed..
  • In this paper, the authors discuss possibility of octapole ordering...



時制についての一般的な豆知識


I am going to do. とI will do.の違い

論文で使う可能性は極めて低いのですが。

確か、1970年代の中学校・高校の授業でこの二つは交換可能と教わり、書き換え問題がテストにでた記憶があります。 でも「未来の行為」の場合は両者には明確な違いがあり、可換ではありません。

どちらも未来ですが、その確定度、実現の確からしさに違いがあります。

I will go to Sapporo next Sunday.
(今度の日曜に、札幌に行こうと思っているんだ。)

The president of our company is going to leave for Korea next Sunday.
(韓国には今度の日曜日に出発する事になっている。)

前者(will)では、行く意志をもっているという事が言いたい事で、実現するとは限らない。 一方、後者(be going to)は、例えばもう飛行機のチケットを手配済みで、よほどの事がないかぎり出発する。
つまり、be going toはすでに(つまり過去に)決定した予定を、willは話し手の将来についての(現在の)意志、希望を、説明する。willって名詞だと「意志」だしね。




さらに

I am leaving in 2 hours.
(2時間後に出発する)

be going toと交換可能だが、予定の実現がさらに確実になっている場合、たとえば、もう成田にいてチェックインが済んでいるような時に使える。I am leaving now.(もう行くよ。)とか。



"He is going (to be) back!"
「ニオは必ずもどってくる。」Matrix
イカ野郎の攻撃に耐えながらも、ニオの帰還を信じて疑わないモーフィアスのセリフ。
でもって、

"I'll be back."
「また来る。」Terminator 1
御存知、シュワルツェネガーのきめゼリフ。
一応くるつもりだけど、もしかしたらもう来ないかもしれない。
来たけど。


"I am going to take this silly boy down to Denver for the week-end."
「私は、このばかな子をデンバーに連れて帰る事に決めましたよ。」

Who's Body : D.L. Sayersの推理小説 ピーター卿シリーズの第1作

精神的なダメージのためひどく体調をくずしたピーター卿を心配して、母親の先デンバー侯爵夫人がピーターを自分のお屋敷につれて帰るといっているところです。このときのピーター卿は40過ぎのおっさん。独身だけど。





「経験」の現在完了


実は、これがピンと来ません。

He has been to Arctic Circle several times.
I am sure that I have met you before.
「北極圏に何回かいった事がある。」。「絶対、以前あったことがあるよ。」。教科書だと、現在もっている経験・知識の事を話しているから現在完了なんだ、といった説明があります。上の方で書いた鍵と同じ事で、現在完了なら「だから英国の事はなんでもしっているよ。」「あなたの事をしっているよ。」と暗に言いたいのだし、過去(I went to UK several times.)なら「行く度に大英博物館にいったんだ。」とかその時の話が続くはず。

でも、ぴんとこない。意識としてはやはり過去の事をいっている気がしてしょうがない。現在もっている知識というものも、結局は過去の英国の情報だし。また、後者の例では過去に会った話をしている。なんで「現在」完了かな。


結局、過去か現在完了かは、文法の問題ではなく、自分の気持ちをどう言葉にするか、というわりと本質的な事できまるので、頭で分かっても使えるものではありません。



ちなみに、beenをビーンと発音すると英国風、ベンとやっちゃうと米国です。


特に、「初めて」や「唯一」とつくと、過去ではなく現在完了。(なんで?)

This is the very first time I have been to Coldfoot.

This is the only play I have really enjoyed.




過去完了

過去完了ってのはいまいちピンとこないんですが、ある推理小説を読んでいていくらかわかりやすい例をみつけました。

He found something in the foreast. It was a girl .
No, he corrected himself, it had been a girl. Now it was a dead body.

森の中でなにかを見つけた。女だ。
いやちがう。自分でいいなおした。かつて女だった物。そしていまはただの死体だった。

ちょっと原典の内容に問題があるので、かなり変えました。
さて、小説は基本的に過去形で書かれていますから、登場人物にとっての現在は読み手の過去形です。なので、登場人物にとっての過去は読み手にとっては過去の過去なので、過去完了であらわされるみたいです。
イタリックにしたのは原著どおりで、「いまは違う」って点を表しているのはhadなんだな、ってことがよくわかります。

なんか、ハムレットの墓掘りのシーンでオフィーリアの死について話しているせりふみたいです。

現在完了と現在完了進行形


これも論文で使う可能性は低いですが。


I have watched the DVD of the journey from Hanoi to Ho Chi Minh.
I have been watching the DVD of the journey from Hanoi to Ho Chi Minh.
前者の現在完了は、「そのDVDを見たことがあって、内容をしっている。」という事だけど、「ずっと見ていて、いま見終わった。」という点に重点が置かれている場合もある。一方、まだ見終わっていなくて、見ている事の継続性をさらに強調すると、現在完了進行形になる。「そのDVDをべったり見続けている最中だ。」とか。


Mami has been laughing for 12 minitues.
「12分前からずっと大笑いし続けている。(今も。)」(何がおかしいんだ、息しないと死ぬぞ、マミ!)


I have learnt Italian.
I have been learning Italian.
前者の現在完了は、「イタリア語を勉強した事があって、いまはマスターしている。」という事。で、後者の現在完了進行形は「ず〜と勉強しつづけている。」で、「ず〜と」を強調したいときに使うらしい。

ついでにいうと、同じ「勉強する」でも、studyはただ勉強する事で、learnはマスターすること。イタリア語をstudyしても話せるとは限らないが、learnしたなら話せる。


時制とは無関係だけど、上に関連して、help。I help him ~で、「彼を手助けした。手伝った。」という使い方ができるが、注意しなくちゃいけないのは、helpはそれが成功するのを手伝う事。彼がそれを失敗したら、helpした事にならないらしい。


"Frankly", he said, "I've been thinking you a bit mad, but now I'm not quite so sure of it."

    Who's Body : D.L. Sayers

「正直なとこ、(君の話が全然信じられなくて)君はちょっと頭がおかしくなったと今の今までずっと思っていたんだ。でも、(少し信じ始めてるので)前ほどは自信がないな。」

日本語にしにくいので上の様に訳しましたが、話し手は「君」の頭がおかしいと、今でも思っています。


Sayersの代表作ピーター卿シリーズの第1作Who's Body にでてくるシーンです。「君」が主人公の貴族探偵ロード・ピーター・ウィムジー、現デンバー公爵の弟。話しているのはピーター卿の友人でスコットランドヤード警部のチャールズ。ある奇怪な殺人事件について、ピーター卿の推理の内容があまりに異様なので、はじめはまったく信じなかったチャールズですが、ピーター卿の予想どおり自分の命も狙われているのを感じ、ピーター卿の推理を無視できなくなったシーンです。

ちょっと脱線してこの作品の話
作品の舞台は第1次大戦後の英国。まだ明確に身分制度が残っている時代で、ピーター卿シリーズには貴族と平民の言葉や生活の違いがなまなましく表現されています。この時代の身分差は堅固です。たとえば、チャールズは非常にすぐれた刑事であり、ピーター卿の親友ですが、平民です。このため、実はチャールズはピーター卿の妹メアリを愛しているのに、身分違いのため初めからその恋をあきらめています。だから別な作品で、いつも冷静なチャールズが、メアリの話題になったとき珍しく感情的になりピーター卿にこんな事を言います。

「妹さんはレディ・メアリ・ウィムジーで、僕はただの警察官さ。それくらい分かっているよ!だからって僕をばかにする権利はきみにもないぞ!」

この場合のレディは、時代が時代なら「姫」とでも訳すべき言葉です。一方、(刑事もふくめ)警察官は貴族の仕事ではありません。20世紀初頭ですら、愛する人がレディだというだけで、優秀で誠実な男の恋が実らない十分合理的な理由になりました。(結局、ピーター卿の応援もあり、二人は無事結婚しますが。)

身分に関して、別な作品でこんなせりふも。

「お嬢さん、私が会社の取締役をしているからといって、gentlemanでないとは思わないでくださいよ」 

意味がわからないでしょ?
この時代の英国では、本物のgentlemanは働く必要がないからです。先祖から相続した財産と領地があるから。つまりgentlemanとは貴族のことです。
一方、たとえ社長であっても、給料をもらって生活するのは平民のやることで、gentlemanのやる事ではありません。なので、上のせりふで強がっています。(実際はこの人物はgentlemanではありませんが。)
ピーター卿も無職です。だから暇をもてあましています。だから事件に首をつっこみます。

日本ならだれでもがんばれば紳士になれますが、この時代の英国では、gentlemanかどうかは徳性の問題ではなく、血です。人種といってもいい。

また、セイヤーズの作品では、急台頭してくるアメリカ人に対する微妙な軽蔑と嫉妬もあって、英語と米語を文字でもかき分けてます。おもしろいです。英国ずき、英語ずきにはお勧め!


THE WORLD HAS BEEN EMPTY SINCE THE ROMANS.

ロンドンのTate Modern Museumでみた作品に書いてあったフレーズ。意味はわからないが。



時制ではないけれど・・・

助動詞

I must do itとI have to do it.の違い
musthave to
personal。話し手の意志、個人的な理由でやらなければいけない事。

I have to get up early tomorrow morning. I have got a lot of things I want to do!

The garden of my house is beautiful. You must see it!.

We have a good TV programme tonight. I must record a video.


If you want to make an apple pie from scratch, you must first create the universe.
------ Carl Sagan(ご存じコスモスの作者)
impersonal。外部からの理由、規則や、おかれた状況からしなければいけない事、強制される事。



I have to get up early tomorrow morning. My plane is leaving at 8.00 from Narita.

Look at the "NO LEFT TURN" sign. You have to turn right here.

i cannot go to the foot ball game next satureday. I have to go to my office to meet my boss.


Are you going to come quietly, or do I have to use earplugs?
---- Spike Milligan, from "The Goon Show"

でも、この違いは大きくはないので、迷ったらhave to doにしておけばいいらしい。
しかし、否定の意味は全然異なる。逆転しているかも。

You mustn't do it.(それをしちゃだめ。)

You do not have to do it.  (しなくていいよ。)


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