中性子物質材料科学研究室のHPです。
解析のTips
UPDATA: 21-NOV-2008
*****おことわり***** |
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マニュアルの使い方FullProfを難しくしている原因の一つは、パラメーターの意味のわかりにくさにあります。これは主に、サンプルファイルのコメント文中のパラメーター名がマニュアル上のパラメーター名と一致していない事によります。(ひどい話だ) この点、Fileなら、"Isym=-1"などで検索をかける事ができるので、パラメーターの定義、値の意味を見つけるのが非常に楽になります。特にhtml版はパラメーター間にリンクをはっているので、使いやすいかもしれません。 |
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ユーザーが作らなければいけないファイル粉末回折の場合: データファイル ****.DAT パラメーターファイル ****.PCR 単結晶回折の場合: データファイル ****.int パラメーターファイル ****.PCR ****は同じにしておいた方が便利ですが、別にしても問題ありません。データファイルを聞いてきます。 |
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計算正常終了後に勝手にできるファイル
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FullprofのExampleファイルの説明 |
||
ファイル名.pcr | 内容 | 対応するデータファイル |
ce1 | CeO2 standard | ceo2.dat |
ce2 | 上と同じで、Profile関数が異なる。 | " |
rutana | 実験室系 X線粉末回折 : Rutile+Anatase | rutana.dat |
tbbaco | 実験室系 X線粉末回折 : Tb2BaCoO5 | tbbaco.dat |
tbba | 実験室系 X線粉末回折 : Profile Matching | " |
pbsox | Crystal structure refinement of PbSO4 with X-rays | pbsox.dat |
pbso | Profile matching to obtain an overlapped intensity file | " |
pbsom | Search for Pb byモンテカルロ法 using previous output | pbsom.int |
pb | 中性子でのProfile matching: PbSO4 | pbso4.dat |
pbso4 | 上の続きで構造解析f PbSO4 | " |
pbso4a | 上と同じで異方的bを用いる | " |
pbb | X線と中性子のデータを同時につかったFitting解析 | pbso4.dat |
c60 | compares C60 x-tal data to form-factor SPHS sin(Qr)/Qr | c60.int |
c60a | compares C60 x-tal data to fixed form-factor sin(Qr)/Qr | " |
dy | 粉末での磁気構造解析:DyMn6Ge6 : 空間群をP-1とした場合 | dy.dat |
dya | " | |
dyb | 上と同じで、空間群をP6mmとした場合。磁性イオンを全部直接表示 | " |
dyc | 上と同じで、対称操作を与える方法。少数の磁性イオンの指定ですむ。 | " |
hobb | 積分強度で磁気構造と結晶構造を同時に解析 | hobb.int |
hob | モンテカルロ法による search for mag. moments in Ho2BaNiO5 | " |
hobk1 | Ho2BaNiO5の磁気構造解析:対称操作を与えて磁気構造を指定。 | hobk.dat |
hobk2 | 上と同じで、別な方法で磁気構造を指定 | " |
hobk3 | 上と同じで、磁気構造と結晶構造を1相で解析 | " |
hocu | Refinement of the magnetic structure of Ho2Cu2O5 | hocu.dat |
la | 低分解能粉末でのストレイン決定 | la.dat |
lab | 上と同じで別な方法 | " |
monte | モンテカルロ法 with single crystal data | monte.int |
hmt | Rigid body-TLS refinement of published single X-tal data | hmt.int |
urea | Test Rigid body with satellites (simulated data) | urea.dat |
pyr | Test Rigid body with general TLS refinement (sim. data) | pyr.dat |
ycbacu | D1A(ILL)のデータの解析 | ycbacu.dat |
cecual | POLARIS( ISIS)の解析 | cecual |
cecoal | POLARIS( ISIS)の解析 | cecoal |
arg_si | SEPD(ToF) at Argonne のデータの解析 | arg_si |
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HERMESのデータファイルHERMESのデータを扱う場合は.DATファイルのヘッダーは以下の様にします。 XYDATA INTER 1.0 1.0 0 0.1 TEMP 1.4 Ho11B2C2 1.4K Ho11B2C2 1.4K Ho11B2C2 1.4K .DATファイルの一行目のXYDATAで、以下の5行はヘッダーとして扱われます。INTERはデータの補間などを指定します。初めの1.0 1.0はX軸、Y軸のスケールファクター、次の0は補間のコントロールで、0にしておきます。最後の0.1は補間を行った場合のステップですが、上の場合では(多分)無視されます。 このヘッダーの次の行から、散乱角とカウントを2列でならべます。散乱角は非等間隔でも大丈夫のようです。 HERMESのデータを扱う場合は、PCRファイルで以下のようにInsを10とする必要があります。マニュアル上ではINSTRMパラメーターに対応します。 COMM Ho11B2C2 ! Files => DAT-file: Macintosh HD:HoB2C2_1p4K !Job Npr Nph Nba Nex Nsc Nor Dum Iwg Ilo Ias Res Ste Nre Cry Uni Cor 1 7 2 0 2 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ! !Ipr Ppl Ioc Mat Pcr Ls1 Ls2 Ls3 Syo Prf Ins Rpa Sym Hkl Fou Sho Ana 0 0 1 0 1 0 0 0 0 2 10 0 0 0 0 0 0 FullProf用データファイルを作るのはIgor,カレイダなどを使えば15秒もあればできる事ですので、変換ソフトを配布する事は考えていません。 |
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PCRファイルのパラメーターの説明PCRファイルの最初の5行 COMM Er11B2C2 14K ! Files => DAT-file: Mac HD:Er11B2C2_14K, PCR-file: Mac HD:28-JUL-2001:Er11B2C2_14K !Job Npr Nph Nba Nex Nsc Nor Dum Iwg Ilo Ias Res Ste Nre Cry Uni Cor 1 7 3 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 |
|
Job | 中性子かX線かの選択。HERMESはJob=1: |
Npr | Profile関数の指定。HERMESはNpr=7(擬ボイド関数)がいいみたい。: |
Nph | 相の数。磁気散乱は別な相に扱う。だから不純物がなければNph=2 |
Nba | バックグランドの指定。Nba=0で多項式でfitting。N>1だとPCR中でデータをならべて入力。へんてこなバックのときに使える。 |
Nex | fittingからとりのぞきたいデータ領域があるとき、その領域の数。なければNex=0 |
Nsc | 仮想原子やテーブルにない原子の散乱長を指定したいとき、その原子の数。なければNsc=0 |
Nor | Preferred Orientation関数の指定。普通はNor=0 |
Iwg | Iwg=0 |
IIo | たぶんHERMESではIlo=0。たぶんだけど。 |
Res | 分解能関数。 |
Ste | 一部のデータにファクターをかけたいときに、その数。めったにつかわないが、HERMESの場合AMP不調で段ができてしまっときに使える。 |
Uni | 角度分散かTofかの選択。HERMESならUni=0 |
Cor | Cor=0 |
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PCRファイルのパラメーターの説明 2行目Ins以外は出力ファイルになにを書き出したいかを指定するパラメーター。だから、相の数に依存する。計算に影響しないので、いろいろ変えて出力ファイルの中身をチェックしてみると、働きがわかるはず。 !Job Npr Nph Nba Nex Nsc Nor Dum Iwg Ilo Ias Res Ste Nre Cry Uni Cor 1 7 3 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ! !Ipr Ppl Ioc Mat Pcr Ls1 Ls2 Ls3 NLI Prf Ins Rpa Sym Hkl Fou Sho Ana 0 1 1 1 1 1 1 0 0 1 10 1 1 1 0 0 0 |
|
Ipr | Ipr=0。積分強度を出力するかどうか。 |
Ppl | Ppl=1. |
Ioc | Ioc=1 |
Mat | Mat=1 |
Pcr | 計算収束後に、結果をPCRファイルに上書きするかどうか。Pcr=1で上書き。発散しやすいならPcr=2にすると、結果を別に.newファイルに書き出してくれる。このときは初期値はPcrファイルにのこっているので、失敗してももとに戻りやすい。 |
Ls1 | |
Ls2 | |
Ls3 | Ls3=0 |
Prf | 計算結果グラフの出力。Prf=2でIgor。Prf=1でWinPLOTRファイル。まずはPrf=1 |
Ins | データファイルの形式を指定する。HERMESならIns=10 |
Rpa | |
Sym | |
Hkl | 最終結果の指数ー強度表の指定。Hkl=1。 |
Fou | Fou=0 |
Sho | |
Ana |
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PCRファイルのパラメーターの説明 3行目波長と補正が重要な行 !Ipr Ppl Ioc Mat Pcr Ls1 Ls2 Ls3 NLI Prf Ins Rpa Sym Hkl Fou Sho Ana 0 1 1 1 1 1 1 0 0 1 8 1 1 1 0 0 0 ! ! lambda1 Lambda2 Ratio Bkpos Wdt Cthm muR AsyLim Rpolarz ->Patt# 1 1.82001 1.82001 1.0000 40.000 5.0000 0.0000 1.2800 40.00 0.0000 ! |
|
lambda | 中性子の波長。HERMESなら1.82Aくらい。両方同じにしておけばいい。 |
Ratio | HERMESには関係ない。 |
Bkpops | よくわからないが、バックグランド関数の原点らしい。Bkpos=0でいいと思う。 |
Wdt | ピーク幅の何倍までの範囲をピークと考えるかを指定する。プロファイル関数でことなるけど、とりあえず5くらい。大き過ぎると発散しやすくなる。 |
Cthm | HERMESにはたぶん関係ない。 |
muR | 線吸収係数。mu*R。muは吸収係数、Rは試料直径 |
Aymlim | 低角でのピーク非対称性が顕著になる散乱角を指定。HERMESだとまあ40度くらい。 |
Rpolarz | さあ。 |
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PCRファイルのパラメーターの説明 4行目収束のコントロール ! ! lambda1 Lambda2 Ratio Bkpos Wdt Cthm muR AsyLim Rpolarz ->Patt# 1 1.819580 1.819580 1.0000 90.000 5.0000 0.0000 0.7030 30.00 0.0000 ! !NCY Eps R_at R_an R_pr R_gl Thmin Step Thmax PSD Sent0 15 0.10 0.80 0.80 0.80 0.80 2.9980 0.0999 152.5210 0.000 0.000 ! ! |
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NCY | 計算サイクルの上限。ここまでまわしたら収束しなくても終了する。 |
Eps | 収束の条件。shift < eps*e.s.d なら収束。(esdってなに?)Epsは0.2以下にする。 |
R_at,R_an,R_pr,R_gl | 緩和因子。パラメーターの変更をすこし和らげ、暴れないようにする。4つの意味はマニュアルを。 |
Thmin, step, Thmax | データの散乱角上限、ステップ、下限。データファイルから読み込まれ、自動で書き込まれるので、気にしなくていい。 |
PSD | HERMESは関係ない。 |
Sent0 | HERMESは関係ない。 |
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データの除外範囲の指定下の例では、(42.10から43.30)と(45.20 から46.40)の2ヶ所を除外します。 COMM Ho11B2C2 ! Files => DAT-file: Macintosh HD:HoB2C2_1p4K !Job Npr Nph Nba Nex Nsc Nor Dum Iwg Ilo Ias Res Ste Nre Cry Uni Cor 1 7 2 0 2 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ! !Ipr Ppl Ioc Mat Pcr Ls1 Ls2 Ls3 Syo Prf Ins Rpa Sym Hkl Fou Sho Ana 0 0 1 0 1 0 0 0 0 2 10 0 0 0 0 0 0 ! ! lambda1 Lambda2 Ratio Bkpos Wdt Cthm muR AsyLim Rpolarz ->Patt# 1 1.819580 1.819580 1.0000 90.0000 5.0000 0.0000 0.6800 30.00 0.0000 ! !NCY Eps R_at R_an R_pr R_gl Thmin Step Thmax PSD Sent0 15 0.10 0.05 0.80 0.80 0.80 8.0980 0.1000 91.8690 0.000 0.000 ! ! Excluded regions (LowT HighT) for Pattern# 1 42.10 43.30 45.20 46.40 Nexで除外する個所の数を指定し、赤文字の位置に、2行で散乱角範囲を書きます。 |
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散乱長のテーブルに含まれていない元素を使いたいとき。FulProfの散乱長テーブルに含まれていない元素、たとえば11Bを含む化合物を解析したい場合は、自分でPCRファイル中に散乱長を定義しなければなりません。 まず、定義する元素の数をPCRファイル中のNscに書きます。 !Job Npr Nph Nba Nex Nsc Nor Dum Iwg Ilo Ias Res Ste Nre Cry Uni Cor 1 7 2 0 2 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 次に 元素の名前と散乱長の値を定義します。 書き加える場所は以下の例を参考にしてください。この例の中のB11は自分でつけた名前で、(多分)任意です。 !NCY Eps R_at R_an R_pr R_gl Thmin Step Thmax PSD Sent0 15 0.10 0.05 0.80 0.80 0.80 8.098 0.100 91.8690 0.00 0.000 ! ! Excluded regions (LowT HighT) for Pattern# 1 42.10 43.30 45.20 46.40 ! ! Additional scattering factors for Pattern# 1 B11 0.665 0.000 0 ! この例での0.665が干渉性散乱長bで、単位は10fm=10-12cmです。2番目の数字0.000は中性子では無視されます。 Nsc=2ならここが2行になり、二つの核散乱長が定義できます。 RIETANでの仮想的原子の定義もここでやればいいでしょう。ただし、仮想の散乱喋を自分で計算する必要があります。 散乱長の表は以下のサイトが便利です。 中性子散乱断面積一覧 なお、自分で磁気形状因子を定義したいときも、Nscを定義して、この辺りに入力しておけばよいようです。(たぶん) |
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CODEの意味たとえば、PCRファイルの格子定数の部分の ! a b c alpha beta gamma 5.329096 5.329096 3.490337 90.000000 90.000000 90.000000 91.00000 91.00000 101.0000 0.00000 0.00000 0.00000 の 91.00000と101.00000がCODEで、上に書いてある格子定数にそれぞれ対応します。 この91.00は九十一という意味ではなく、9と1.00に分解されます。前の9は、このパラメーターを9番目に回すという意味です。 91.00の、うしろの1.00はこの変化分の関係をコントロールします。 複数のパラメーターに同じCODE、たとえば91、をつける事ができます。この場合CODE=91.00のついたパラメータの変化分は同じ値になります。従って、パラメータの初期値が同じであれば、収束値も一致しますし、初期値が0.5ずれていれば収束値も0.5ずれています。 91.00と-91.00の2種類のCODEがあると、前者のパラメーターが0.1増加した場合、後者のパラメーターは0.1減少します。 たとえば、一つのサイトに2種類の元素が入る場合の占有率など、2つのパラメーターの和が一定値になる場合に使えます。 磁気ユニットセルのc軸が結晶ユニットセルのc軸の2倍になっているときは、 結晶構造のユニットセル ! a b c 5.322144 5.322145 3.458836 81.00000 81.00000 91.00000 磁気構造のユニットセル ! a b c 5.322144 5.322144 6.917675 81.00000 81.00000 90.25000 とします。この場合、磁気構造のユニットセルでのcは常に結晶ユニットセルのcの2倍になります。なぜ92.00でなく90.25000なのかは、よく分かりません。マニュアルをご覧ください。 |
六方晶でのCodeの注意点(Dr. A. Donniの講演より)六方晶では、格子定数のCodeは以下のようにします。 ! a b c alpha beta gamma 5.33199 5.33199 7.034641 90.000000 90.000000 120.000000 51.00000 51.00000 61.000 0.00000 0.00000 51.00000 なぜだあ? |
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占有率の定義FullProfでのサイト占有率の定義はかなり特殊(古風)です。GENERAL Positionの数を1.000としているので、 空間群がP4/mmm の構造(GENERAL Positionは16個)で、原子が1aサイト(1個)を100%満たしているとすると、FullProf上のこの原子の占有率は1/16*100%=0.0625 になります。占有率50%ならもちろん 1/16*50%=0.03125 となります。たぶん、とにかくGeneral Positionを計算してしまって、重複した分を占有率で帳じりを合わせているためじゃないかと思います。 General Positionの数が48ならば、100%のサイトの占有率は1/48です。General Positionの数は、その空間群の対称要素の数と同じ、あるいは最も対称性の低いサイトの多重度と同じです。 ですから、FullProfを使うときはInternational Tableが必須です。 |
Propargation Vector kの定義その1正直に言います。kの定義はよくわかりません。特にk=(000)の場合がよくわかりません。マニュアルのline11の説明に以下の文章があります。If fundamental reflections have magnetic contribution, the propargation vector k=[000] must be included explicitely. でも、k=(1,0,0)や(0,1,0)、(0,0,1)構造の場合、SARAhとFullprofではk=(000)として扱かわれ、しかも普通はk=(000)はPCR中にはかきません。 commensurate構造の場合、k-vectorはユニットセルの大きさを指定している、と考えるといいようです。 当然のことながら、kの定義は磁気構造の定義と完全に整合させる必要があります。 |
Propargation Vector kの定義その2(Dr. A. Donniの講演より)ユニットセル内の対称操作を指定する事で磁気構造の指定を単純化する事が可能です。また、ユニットセルを結晶ユニットセルと一致させる事ができて、間違いが減ります。長周期構造の場合は磁気ユニットセルを指定する事ができないので、この対称操作の指定は必須です。一方、この対称操作の指定を行えば、単純な構造の場合、propagation vector の指定は不要です。この場合はNvk=0です。 以下の例は、NdB2C2のように、底面心正方晶の反強磁性構造で、k=[100]、すなわち、c面のコーナーのNdと面心のNdが反強磁性結合していて、かつc軸方向には強磁性結合している場合です。(JPSJ 69 (2000) 2623)(この例は動作確認していません。) 対象操作の指定は以下の赤い部分で行います。今の場合、磁性原子が2個あるので、対称操作も単位対称操作を含めて2個になります。Nsymで入力する対称操作の数を指定しています。各操作は以下の2行からなります。 SYMM:原子の並進対称操作 MYMM:磁気モーメントの回転対称操作と位相 どう指定するかは、マニュアルを見ても分からないかもしれません。SARAhの出力が直接入力できますので、SARAhを使ってみてください。Isym=-1でx,y,x,u,v,w 形式です。対象操作をすべて記述してあれば、原子位置の指定は1個だけで大丈夫なはずです。 !Nat Dis Mom Pr1 Pr2 Pr3 Jbt Irf Isy Str Furth ATZ Nvk Npr More上の例では、(x,y,z)位置の磁気モーメントと、 (x+0.5, -y+0.5, -z)位置の磁気モーメントが反平行になっている事を意味します。結晶ユニットセル中の磁性原子の数と同数の指定が必要で、そうする事で磁気ユニットセルを大きくとる必要はなくなります。 対称操作の2、4行目最後の0.00は磁気モーメントの位相を表します。imcommensurateの場合に意味を持ちます。 Isym=1なら、対称操作は以下のように数値でももかけます。 ! Symmetry operators 1 0 0 0.00 0 1 0 0.00 0 0 1 0.00 1 0 0 0 1 0 0 0 1 0.00 0.5 0 0 0.00 0 0.5 0 0.00 0 0 1 0.00 -1 0 0 0 -1 0 0 0 -1 0.00 ! 対称操作で磁気構造を指定した場合、Irf=1ならSpace Group Symbolは不要で、代わりにODFILn.HKLファイル名を記入する事になります。 さっぱり分からないでしょ?私もです。 |
空間群の指定磁気構造相では、対称性をP-1に選ぶ事が多いようです。しかし、結晶構造の対称性がPrimitive(P)セルでない場合、つまりF,I,A,B,Cなどの場合は、P-1のかわりに、F-1, I-1などを使います。これはInternational Tableには載っていない空間群ですが、問題ありません。なぜなら、P-1はその対称性の低さ故に、複数のユニットセルの取り方があり、本質的にはP-1でも、Body Centre, Face Centreなどのユニットセルを選ぶ事が可能だからです。磁気構造相と結晶構造相とのユニットセルを一致させるためには、同じCenteringを選ぶ必要があります。 この点もSARAhをつかうと自動的に選んでくれます。 |
Peak Shape Functionについての注意(Dr. A. Donniの講演より)Fittingに用いるPeak FunctionはパラメーターNprで選べます。マニュアル上ではNprofになります。作者のJuanによれば、Npr=7を推奨するそうです。 !------------------------------------------------------------------------------- ! Data for PHASE number: 1 ==> Current R_Bragg for Pattern# 1: 2.85 !------------------------------------------------------------------------------- HoB2C2 Nuclear ! !Nat Dis Mom Pr1 Pr2 Pr3 Jbt Irf Isy Str Furth ATZ Nvk Npr More 3 0 0 0.0 0.0 1.0 0 0 0 0 0 0.00 0 7 0 Npr=7を選んだ場合、分解能パラメーターX,YのうちXを0に固定し、YをFitting Parametersにしてください。 Y=0ではただのガウス関数になってしまいます。それでも間違いというわけではありませんが。 |
謎のエラーでこまったとき その1 FullProfを走らせたとき、謎のエラーを起こして計算を始める前に止まってしまう事がよくあります。 この場合は****.logファイルを開いて見てください。 logファイルの始めの部分が以下の様になっていたら、 => START Date:10/05/2000 Time => 13:25:01.000 => Reading control file *.PCR ... => Reading intensity file *.DAT... => Not FATAL End of file !, logical unit: 4 PCRファイルの一番最後に空の行を1行加えてください。もしかしたら動くかもしれません。 なぜだかは知りません。 |
R因子の謎(Dr. A. Donniの講演より) FullProfの出力には、複数のR因子が登場し、どれを使ったらよいか分からなくなります。 FullProfの出力ファイルの.SUMファイルの中で最後の方に以下の2種類のR因子が表示されています。==> RELIABILITY FACTORS WITH ALL NON-EXCLUDED POINTS FOR PATTERN: 1 ここに現れるR因子は、バックグランドを含む全てのデータ(excluded dataは含まない。)でのR因子で、RIETANのR因子と(たぶん)同じ定義になります。後になってからFullProfに加えられたR因子です。 ==> RELIABILITY FACTORS FOR POINTS WITH BRAGG CONTRIBUTIONS FOR PATTERN: 1 こちらは、ブラッグピーク付近のデータのみで計算されたR因子です。FullProfとしては、オリジナルのR因子です。値は似ているかもしれませんが、RIETANの定義とは異なります。 |
Incommensurate磁気構造の表現の例(Dr. A. Donniの講演より) Incommensurate磁気構造でのPCRファイルの例を示します。(注:動作確認はしていません。) 六方晶でc面内で磁気モーメント(6.32muB) が回転してc軸方向に進むスクリュー構造の例(k=[0 0 0.243]) Ho magnetic ! !Nat Dis Mom Pr1 Pr2 Pr3 Jbt Irf Isy Str Furth ATZ Nvk Npr More 1 0 0 0.0 0.0 1.0 -1 -1 1 0 0 1.00 -1 7 1 ! !Jvi Jdi Hel Sol Mom Ter Brind RMua RMub RMuc Jtyp 0 -1 1 0 0 0 1.0000 0.0000 0.0000 0.0000 1 ! P -1 <--Space group symbol !Nsym Cen Laue MagMat 1 1 1 1 ! Symmetry operators SYMM x, y, z MSYM u, v, w, 0.00 ! ! !Atom Typ Mag Vek X Y Z Biso Occ Rm Rphi Rtheta Ho1 JHO3 1 0 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 1.00000 6.320 0.0 90.000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 41.00 0.00 0.00 ! Im Iphi Itheta beta11 beta22 beta33 MagPh 6.320 90.000 90.000 0.000 0.000 0.000 0.00000 41.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 ! ! Scale Shape1 Bov Str1 Str2 Str3 Strain-Model 10.307 0.0000 0.2054 0.0000 0.0000 0.0000 0 11.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 ! ! U V W X Y GauSiz LorSiz Size-Model 0.89886 -1.14994 0.49653 0.02984 0.03000 0.00000 0.00000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 ! ! a b c alpha beta gamma 5.331995 5.331999 7.034641 90.000000 90.000000 120.000000 51.00000 51.00000 61.0000 0.00000 0.00000 0.00000 ! ! Pref1 Pref2 Asy1 Asy2 Asy3 Asy4 1.14947 0.00000 0.17526 0.04551 0.00000 0.00000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 ! ! Propagation vectors: 0.0000000 0.0000000 0.2430000 Propagation Vector 1 0.000000 0.000000 0.000000 六方晶で、a軸に平行の磁気モーメントがc軸に進みながら伸び縮みする正弦波構造の例(k=[0 0 0.243]) Ho magnetic ! !Nat Dis Mom Pr1 Pr2 Pr3 Jbt Irf Isy Str Furth ATZ Nvk Npr More 1 0 0 0.0 0.0 1.0 -1 -1 1 0 0 1.00 -1 7 1 !Jvi Jdi Hel Sol Mom Ter Brind RMua RMub RMuc Jtyp 0 -1 1 0 0 0 1.0000 0.0000 0.0000 0.0000 1 ! P -1 <--Space group symbol !Nsym Cen Laue MagMat 1 1 1 1 ! Symmetry operators SYMM x, y, z MSYM u, v, w, 0.00 ! ! !Atom Typ Mag Vek X Y Z Biso Occ Rm Rphi Rtheta Ho1 JHO3 1 0 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 1.00000 6.320 0.0 90.000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 41.00 0.00 0.00 ! Im Iphi Itheta beta11 beta22 beta33 MagPh 0.0 0.0 00.000 0.000 0.000 0.000 0.00000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 ! Scale Shape1 Bov Str1 Str2 Str3 Strain-Model 10.307 0.0000 0.2054 0.0000 0.0000 0.0000 0 11.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 ! U V W X Y GauSiz LorSiz Size-Model 0.89886 -1.14994 0.49653 0.02984 0.03000 0.00000 0.00000 0 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 ! a b c alpha beta gamma 5.331995 5.331999 7.034641 90.000000 90.000000 120.000000 51.00000 51.00000 61.0000 0.00000 0.00000 0.00000 ! Pref1 Pref2 Asy1 Asy2 Asy3 Asy4 1.14947 0.00000 0.17526 0.04551 0.00000 0.00000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 ! Propagation vectors: 0.0000000 0.0000000 0.2430000 Propagation Vector 1 0.000000 0.000000 0.000000 長周期構造を扱う場合は、マニュアルの3- MATHEMATICAL INFORMATION をよく読む必要があります。また、FPStudioをつかって、磁気構造を確認しておく必要があります。 |
Scale因子の整合(Dr. A. Donniの講演より)磁気構造解析を行う場合、2相あるいはそれ以上で計算することになりますが、その際、Scale因子、格子定数、各原子の占有率、k-vectorの定義が整合するように注意してください。特に占有率を間違いやすいでしょう。これらの値が間違っていれば、当然、磁気モーメントの大きさなどについて誤った結果を出してきます。問題はどうやれば整合するのかが分からない事です。これを避けるにはSARAhをつかうのが確実です。磁気ユニットセルの大きさを考える必要がないからです。 分解能パラメーターは各相で一致させておくほうが自然ですが、Frustrationがある場合などは、ピーク幅が核散乱と異なる場合もありますので、いろいろとやってみてください。 |
磁気相 11行目の意味磁気相の11行目は、相の中では2行目、相の名前の次の行になります。Er11B2C2 magnetic ! !Nat Dis Mom Pr1 Pr2 Pr3 Jbt Irf Isy Str Furth ATZ Nvk Npr More 1 0 0 0.0 0.0 1.0 -1 -1 -1 0 0 0.00 2 7 0 パラメーターのそれぞれの意味は以下のとおり。 |
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Nat | 下で定義される磁性原子の数。ユニットセル、対称性の指定、などで変わる。 |
Pr1~2 | preferred orientation direction(逆格子) |
Jpt | 磁気相なら+1 or -1:Jbt=+1 直交座標系表示、 Jbt=-1 極座標系表示。ただし、Cone型構造ならJBT=5でできる。 |
Irf | Irf=-1 The satellite reflections are generated automatically from the given space group symbol Irf=1 The list h,k,l,Mult is read from file CODFILn.HKL |
Isy | Jsy=-1 対称操作をxyz-uvwで指定 Jsy=+1 対称操作を数字で指定、Jsy=-2 磁気構造を既約表現で記述。 |
Nvk | propagtion vector の数 長周期構造の場合は必ずNvk<0、commensurateの場合は必ずNvk>0、間違えると強度が半分または2倍になる。 |
Npr | Peak Shape Functionの指定 Npr=7:Thompson-Cox-Hastings pseudo-Voigtが最適 |
More | 追加行の数。長周期の場合はMore=1 |
SARAhを使えばとっても便利群論的考察を用いて磁気構造モデルを探査するソフトにSARAhがあります。結晶の対称性、k-vector, 磁性原子位置を入力するだけで、結晶の対称性からみて可能性の高い磁気構造をずらっとリストアップしてくれるすぐれ物です。しかも、出力ファイルに.matというのがあり、これをSARAh-Refineというソフトに通すと、いきなり磁気構造解析用のPCRファイルを作成してくれます。細かいパラメーターまで正しく出力してくれるので、そのまま解析に使う事ができ、非常に安心できます。また、SARAhの作った「正しいPCRファイル」を読む事で、パラメーターの意味が分かってきます。したがって、FullProfを使うにはSARAhは必須といえましょう。ただし、SARAhの原理は非常に洗練されていて、理解するのは簡単ではありません。 |
SARAhから出力されたPCRファイルTmB2C2 (P4/mbm 127)がk=(101/2)の磁気構造をとった場合の例です。Tmは格子ユニットセルに2個あり、位置は(000)と(1/2,1/2,0)です。下の書き方だと、(000)にUp、(1/2,1/2,0)にDownのモーメントをおいています。大きさは8.99muBにしてあります。 SARAhが出力したファイルをそのままはったもので、手をいれたのは、html化のためのごくマイナーな点だけです。なので、たとえば格子定数は1になっています。 格子定数などを必要に応じて書き換えてペーストすれば、そく使えます。簡単です。 !------------------------------------------------------------------------------- ! Data for PHASE number: 1 ==> Current R_Bragg for Pattern# 1: 1.00 !------------------------------------------------------------------------------- Magnetic Phase ! !Nat Dis Mom Pr1 Pr2 Pr3 Jbt Irf Isy Str Furth ATZ Nvk Npr More 1 0 0 0.0 0.0 1.0 1 0 -2 0 0 0.00 1 0 0 ! P -1 ! Nsym Cen Laue Ireps N_Bas 2 1 4 -1 1 ! Real(0)-Imaginary(1) indicator for Ci 0 ! SYMM X, Y, Z BASR 0 0 1 BASI 0 0 0 SYMM -X+1/2, Y+1/2, -Z BASR 0 0 -1 BASI 0 0 0 ! !Atom Typ Mag Vek X Y Z Biso Occ C1 C2 C3 ! C4 C5 C6 C7 C8 C9 MagPh TM1 MTM3 1 1 .00000 .00000 .00000 .30000 1.00000 8.99000 0.000 0.000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 .00000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 !------- Profile Parameters for Pattern # 1 ! Scale Shape1 Bov Str1 Str2 Str3 Strain-Model 10.0 0.0000 0.0000 0.0000 0.0000 0.0000 0 0.00000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 ! U V W X Y GauSiz LorSiz Size-Model 1.08239 -0.23233 0.25618 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 ! a b c alpha beta gamma 1 1 1 90 90 90 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 ! Pref1 Pref2 Asy1 Asy2 Asy3 Asy4 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 ! Propagation vectors: .0000000 .0000000 .5000000 Propagation Vector 1 0.000000 0.000000 0.000000 磁気ユニットセルは格子ユニットセルの2倍の大きさになっていますが、この計算では、ユニットセルの大きさは格子と同じです。磁気ユニットセルの大きさはk=(001/2)で指定しているから、これで充分です。 また、Tmはユニットセル中に(000)と(1/2,1/2,0)の位置にありますが、上の計算では(000)位置だけが明示されています。(1/2,1/2,0)の方は、対称操作SYMM -X+1/2, Y+1/2, -Zで作成しています。 !! SYMM X, Y, Z BASR 0 0 1 BASI 0 0 0 SYMM -X+1/2, Y+1/2, -Z BASR 0 0 -1 BASI 0 0 0 意味は、 「(x,y,z)の位置に原子があれば、(-x+1/2, y+1/2, -z)位置にも同じ磁性原子がある。(x,y,z)の位置の磁気モーメントは(0,0,1)方向を向き、(-x+1/2, y+1/2, -z)位置の磁気モーメントは(0,0,-1)を向いている。」という磁気構造モデル BASRが磁気モーメントの実数成分、BASIが虚数成分。本当は基底ベクトルなのでBAS。C1がその係数で、この場合は磁気モーメントの大きさに対応する。 |
SARAhから出力されたPCRファイルErB4 (P4/mbm 127)がk=(1,0,0)の磁気構造をとった場合の例です。Erは格子ユニットセルに4個あり、 Er位置と対応する対称操作は: (0.31865 0.81865,0) : SYMM X, Y, Z (0.68135 0.18135 0) : SYMM -X+1, -Y+1, Z (0.18135 0.31865 ,0) : SYMM -Y+1, X, Z ( 0.81865 0.68135,0) : SYMM Y, -X+1, Z です。 この順で、磁気モーメントがUp,Down,Down Upの順にならびます。磁気モーメントの大きさを8.99muBとしています。 k=(1,0,0)の場合は磁気ユニットセルと格子ユニットセルが一致するので、propergation vectorを指定する必要がない。 !------------------------------------------------------------------------------- ! Data for PHASE number: 1 ==> Current R_Bragg for Pattern# 1: 1.00 !------------------------------------------------------------------------------- Magnetic Phase ! !Nat Dis Mom Pr1 Pr2 Pr3 Jbt Irf Isy Str Furth ATZ Nvk Npr More 1 0 0 0.0 0.0 1.0 1 0 -2 0 0 0.00 0 0 0 ! P -1 >--Space group symbol ! Nsym Cen Laue Ireps N_Bas 4 1 4 -1 2 ! Real(0)-Imaginary(1) indicator for Ci 0 0 ! SYMM X, Y, Z BASR 0 0 1 0 0 0 BASI 0 0 0 0 0 0 SYMM -X+1, -Y+1, Z BASR 0 0 -1 0 0 0 BASI 0 0 0 0 0 0 SYMM -Y+1, X, Z BASR 0 0 0 0 0 -1 BASI 0 0 0 0 0 0 SYMM Y, -X+1, Z BASR 0 0 0 0 0 1 BASI 0 0 0 0 0 0 ! !Atom Typ Mag Vek X Y Z Biso Occ C1 C2 C3 ! C4 C5 C6 C7 C8 C9 MagPh ER1 MER3 1 0 .31859 .81859 .00000 .30000 1.00000 8.99000 8.99000 0.000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 .00000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 !-------> Profile Parameters for Pattern # 1 ! Scale Shape1 Bov Str1 Str2 Str3 Strain-Model 10.0 0.0000 0.0000 0.0000 0.0000 0.0000 0 0.00000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 ! U V W X Y GauSiz LorSiz Size-Model 1.08239 -0.23233 0.25618 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 ! a b c alpha beta gamma 1 1 1 90 90 90 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 ! Pref1 Pref2 Asy1 Asy2 Asy3 Asy4 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 モデルの意味の説明 ! SYMM X, Y, Z BASR 0 0 1 0 0 0 BASI 0 0 0 0 0 0 SYMM -X+1, -Y+1, Z BASR 0 0 -1 0 0 0 BASI 0 0 0 0 0 0 SYMM -Y+1, X, Z BASR 0 0 0 0 0 -1 BASI 0 0 0 0 0 0 SYMM Y, -X+1, Z BASR 0 0 0 0 0 1 BASI 0 0 0 0 0 0 ! 基底ベクトルに赤と緑の2つの組があり、それぞれが独立な磁気構造を表す。(だからN_Bas=2)磁性原子は4こ。 一つの磁気構造は上から(0,0,1)(0,0,-1)(0,0,0)(0,0,0)。 もう一つは(0,0,0)(0,0,0)(0,0,-1)(0,0,1) 磁気構造は、この二つの線形結合で表せる。それぞれの係数がC1とC2で、今はC1=C2としたから、結局これは+--+構造を表している。 |
磁気形状因子の指定磁気形状因子は、以下のように指定しています。希土類のTm三価の例です。!Atom Typ Mag Vek X Y Z Biso Occ C1 C2 C3 ! C4 C5 C6 C7 C8 C9 MagPh TM1 MTM3 1 1 .00000 .00000 .00000 .30000 1.00000 8.000 0.000 0.000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 .00000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 MTM3 のTM3はTm三価を意味しています。で、Fullprofでの磁気形状因子f(q)には2種類あって、TM3の前の文字で指定しています。意味は以下のとおり。 MTM3: f(q)= <j0> JTM3: f(q)= <j0> + c2 <j2> <j0>などは、磁性イオンの波動関数できまる関数で、 Freemanの論文や、ITCにのっています。低Q領域では、普通はどちらでもほとんど変わりませんが、Jを選んでおいたほうがいいでしょう。 SARAhの出力の場合は、Mになっています。 |
磁性イオンが多数ある場合の磁気構造の入力結晶学的に独立な複数サイトを磁性イオンがしめている場合は、サイトごとに磁気構造を指定しなければいけませんし、磁性イオンサイトが一つしかない場合でも各スピンをばらばらにうごかしたいときもあります。これはマニュアルやexampleにはのっていないうえに、どうもSARAhの出力だと問題があるようでうまくうごきません。 自力でうごくのを作ってみました。 空間群をP1で指定して、対称操作をこちらで指定し、それぞれの位置での磁気モーメントの向きをxyz成分で指定する方法です。 独立のCoサイトが7つはいっていて、それぞれのサイトが独立の磁気構造をとる可能性がある物質のケースです。 結晶構造の空間群はC2/mですが、ここではP1にして最低におとしました。 原子位置は結晶構造の指定と同じにします。 この構造の場合、一般位置の対称操作は8つありますので、全部書いておきます。SYMM X,Y,Zがそれです。 BASRの行は、その対称操作で(x,y,z)から移動したイオンの磁気モーメントの向きを指定しています。 この例では前から(mx,my,mz)の表示で7つのベクトルを横に書いています。この場合は磁性イオンひとつひとつに対応させましたが、磁気構造によっては、磁性イオンの数よりも少なくすることも可能です。 ただし、注意事項として、特殊位置にあるイオンでは一般位置に移動すると重ねるものがでてきますから、2重カウントを気をつけなければいきません。それは占有率で調整すればいいでしょう。 ! !Nat Dis Mom Pr1 Pr2 Pr3 Jbt Irf Isy Str Furth ATZ Nvk Npr More 7 0 0 0.0 0.0 1.0 1 0 -2 0 0 0.000 0 7 0 ! P -1 --Space group symbol for hkl generation ! Nsym Cen Laue Ireps N_Bas 8 1 2 1 7 ! Real(0)-Imaginary(1) indicator for Ci 0 0 0 0 0 0 0 ! SYMM X, Y, Z BASR 0 0 1 0 0 -1 0 0 1 0 0 -1 0 0 1 0 0 -1 0 0 -1 SYMM -X, Y, -Z BASR 0 0 1 0 0 -1 0 0 1 0 0 -1 0 0 1 0 0 -1 0 0 -1 SYMM -X, -Y, -Z BASR 0 0 1 0 0 -1 0 0 1 0 0 -1 0 0 1 0 0 -1 0 0 -1 SYMM X, -Y, Z BASR 0 0 1 0 0 -1 0 0 1 0 0 -1 0 0 1 0 0 -1 0 0 -1 SYMM X+1/2, Y+1/2, Z BASR 0 0 1 0 0 -1 0 0 1 0 0 -1 0 0 1 0 0 -1 0 0 -1 SYMM -X+1/2, Y+1/2, -Z BASR 0 0 1 0 0 -1 0 0 1 0 0 -1 0 0 1 0 0 -1 0 0 -1 SYMM -X+1/2, -Y+1/2, -Z BASR 0 0 1 0 0 -1 0 0 1 0 0 -1 0 0 1 0 0 -1 0 0 -1 SYMM X+1/2, -Y+1/2, Z BASR 0 0 1 0 0 -1 0 0 1 0 0 -1 0 0 1 0 0 -1 0 0 -1 ! !Atom Typ Mag Vek X Y Z Biso Occ C1 C2 C3 ! C4 C5 C6 C7 C8 C9 MagPh CO1 MCO3 1 0 0.99569 0.00000 0.26273 0.30000 0.50000 0.981 0.000 0.000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 51.00 0.00 0.00 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.00000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 CO2 MCO3 1 0 0.23726 0.50000 0.00908 0.30000 0.50000 0.000 0.981 0.000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 51.00 0.00 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.00000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 CO3 MCO3 1 0 0.99014 0.50000 0.26464 0.30000 0.50000 0.000 0.000 0.981 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 51.00 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.00000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 CO4 MCO3 1 0 0.26722 0.00000 0.48865 0.30000 0.50000 0.000 0.000 0.000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.981 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.00000 51.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 CO5 MCO3 1 0 0.00436 0.25000 0.25839 0.30000 0.50000 0.000 0.000 0.000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.000 0.981 0.000 0.000 0.000 0.000 0.50000 0.00 51.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 CO6 MCO3 1 0 0.25000 0.25000 0.50000 0.30000 0.50000 0.000 0.000 0.000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.000 0.000 0.981 0.000 0.000 0.000 0.00000 0.00 0.00 51.00 0.00 0.00 0.00 0.00 CO7 MCO3 1 0 0.25000 0.25000 0.00000 0.30000 0.50000 0.000 0.000 0.000 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.000 0.000 0.000 0.981 0.000 0.000 0.00000 0.00 0.00 0.00 51.00 0.00 0.00 0.00 -------Profile Parameters for Pattern # 1 |
注意:空間群のsettingの設置Fullprofでは空間群でsetting-1以外の設定ができません。たとえば、RIETANやVESTAはC 2/m (monoclinic No.12)は、unique axisのとりかた等によってsetting-6まで選択できますが、Fullprofではsetting-1のみが使用可能のようです。 低対称構造の物質の場合、論文でのsettingの定義は著者によって異なるので、setting-1になっているとは限りません。そのため、fullprofで解析するときは、格子定数の定義、原子座標の定義をsetting-1に変換する必要があります。他人の論文の値をつかうときは、そうとう注意する必要があります。 幸い、settingの変換はVESTAが一発で正確にやってくれます。変換後にVESTAからcif形式ではきだせば、fulprofはcifを直接よみこんでprcファイルに変換してくれるので、簡単です。 いずれにしても、Fullprofを使うときには、結晶構造が自分の思った通りになっているか、細かくチェックすることが必要です。 |
注意:Ceの磁気形状因子信じられないことなのですが、FullprofはCeの磁気形状因子をもっていないようです。おそらくinternational tableにCe三価がのっていないためでしょう。 したがって、自分でいれる必要があります。Freemanの論文などをもとに、磁気形状因子をつくり、それをいnternational tableの式で近似して入力することになります。 |
注意:なんだとぉ?Siなのにあわないだとぉ!標準試料であるSiでfitしようとしてもどうにもあわないことがあります。パターンがぜんぜん違うために強度が0になってしまいます。これはF d -3 mのOrigin Choiceが、Fullprofのデフォルトでは Choice 2になっているためです。Origin Choice 2ではSi位置を(000)にするとユニットセル中のSiが16こになるので、構造をかかせれば判断できます。Choice 2本来の位置の(1/8, 1/8, 1/8)にすれば正しくあいます。Fullprofではデフォルトでorigin choice 2になるようで、Si以外でも、Origin Choiceが2つある場合は注意が必要です。 ちなみに、F d -3 mでもF d 3 mでも同じ計算結果をだします。 |
積分強度でFItのときのデータ積分強度のデータで単結晶と粉末の区別はIntファイル内。 CRY=1, IRF=4で、積分強度の.intファイルの3行目は 2.5200 0 2 などですが、3番目の整数Ipow=2が粉末の積分強度を指定しているとおもいます。(旧マニュアル2000のP138) Ipow=0にすると単結晶で、2番目の整数Itypdata=0が(単結晶の場合)F2でかかれている、という指定だとおもいます。Ipowと矛盾しますけれど、Itypdataに積分強度の指定がないので、Ipowが優先なのかもしれません。 |
最後にFullprofを使うとよく分かりますが、いかなるFitting ソフトも、磁気構造モデルの正当性を保証してはくれません。せいぜい、あなたが与えた複数のモデルのうち、どれが最もデータを定量的に説明するかを選ぶだけです。あってないなら論外ですから、「Fittingの結果がよくあっている。故にこのモデルは正しい。」などとまぬけな議論をしてはいけません。論文では、「これこれの実験事実から磁気構造はこうでなくてはならない。このモデルに従い、Fittingを行い自由パラメーターの定量化を行ったら、これこれ値が得られた。もちろんモデルは正しいのでFittingの結果はよくあっている。」あるいは「群論的考察によって、構造の候補として二つのモデルにしぼられる。そこでFittingを行った結果、モデルAでのR因子が明らかに小さかったので、モデルAの磁気構造をとっていると考えられる。」というような論法でないといけません。一方、「あっていないから、このモデルは間違い」という結論なら正当です。 |