HOME > 学会発表

研究テーマ: 機能性材料のドープ効果の解明:局所構造

我々の生活に最も重要な機能性材料の一つがシリコン半導体です。シリコン半導体に代表される機能性材料では、多かれ少なかれ、異種元素を添加することで、その性能を発揮させます。 シリコンの場合、純粋なシリコンでは電気抵抗が大きすぎて実用にならないため、ほんの微少量のボロン(ホウ素)やリンをまぜること(ドープ、といいます)で半導体として機能させます。その量はわずか0.001%以下程度ですが、それが物質全体の性質を決定しています。これを構造の視点からみれば、右図のようにドープされた異元素(ボロン)の周りでほんの少し構造が変化していることがポイントになるはずです。ドープされたボロンがシリコン結晶中のどのように存在するか、が重要ということは容易に想像できます。このようなドープ元素周りの構造を局所構造といいます。 シリコンに限らず、太陽電池材料、熱電材料他、ほとんどの機能性材料でドープ効果が重要です。したがって、機能性の起源の解明や、より高度化には、ドープ効果を局所構造の視点から解明することが重要となります。現在、次に説明する白色中性子ホログラフィーという新しい手法を開発することで、局所構造研究に取り組んでいます。


卒論、修論の研究テーマ
○ Bドープシリコン半導体のB周りの局所構造の観測
○ 白色LED材料BドープSiCでのB位置の決定
○ 安全安価な熱電材料BドープMg2SiでのB周りの局所構造の観測


シリコン半導体にドープしたボロン(ホウ素)。ドープしたBはSi位置にはいると広く考えられていますが、実験的に証明されたいるわけではありません。観測方法がないからです。、これを解明しようとしています。(新学術領域「3D活性サイト科学」から転載)

研究テーマ: 白色中性子ホログラフィーの開発、高度化


シリコンにボロンを添加した場合、ボロンはシリコンと置き換わることが広くしられています。しかし、本当のところボロンがシリコン置き換わっていることが実験的には確認されているわけではありません。その理由は、通常の構造解析法である回折実験ではドープされた異元素を観測することができないからです。 私たちは、ボロンのような比較的軽い(原子番号が小さい)元素をドープした機能性材料で、その周りで何がおきているのかを観測するほぼ唯一の方法である白色中性子ホログラフィーを日本では初めて実用化しました。この手法ならば、シリコン中のボロンの位置を決定することができます


卒論、修論の研究テーマ
○ 中性子ホログラフィーでの定量解析のためのシミュレーション法の開発
○ 中性子ほログラフィーの高精度化のための放射線発生過程のシミュレーション
○ 水素観測のための粉末ホログラフィーの開発



シリコンの原子構造(結晶構造)
実はダイアモンドと同じです。

ホログラフィー実験用に作成したシリコンの大型単結晶を持つ

研究テーマ: 希土類磁性体での特異な磁性の研究

基礎的な研究として、磁性物理学にもとりくんでいます。磁性(磁石の性質)を持つ元素としては、鉄やコバルトのような元素グループ(遷移金属)やセリウム、ガドリニウム、ディスプロシウムなどの元素グループ(希土類金属)などがあります。このうち、希土類金属は、磁性と電子軌道が渾然一体となっているのが特徴で、それゆえ特徴的な現象がおきます。近年注目されているのは、原子レベルの棒磁石のような磁気双極子、や電荷のような電気単極子だけでなく、より高次の4極子、八極子が重要ということが分かってきました。この研究室では、中性子回折実験や中性子非弾性散乱実験を通して、その希土類磁性の不思議をミクロレベルの理解を介して解明しようとしています。


卒論・修論のテーマ
○ 希土類半導体Yb5Ge4の磁気秩序の研究
○ 希土類フリー永久磁石材料Fe16N2の構造変化の研究
○ 希土類絶縁体YbMS2(M:Ag, Cu)の磁気秩序の研究


中性子できめた希土類ホウ化物DyB2C2での特異な90度磁気構造

▲ページトップに戻る