[接続詞][副詞][前置詞][動詞][類義語][冠詞][時制][関係代名詞][分詞構文][比較][否定][典型文][文章][参考書]
Top pageへのリンク>>[冠詞]>>[典型のthe]

典型のthe、代表のthe


The+単数普通名詞で、典型、本質、抽象的性質を表す事ができます。この場合は、前に出てきているかどうか、限定されているかどうか、は全く問題ではありません。突然theが出てきたら、このケースではないかと考えてみましょう。



The lunatic, the lover and the poet
Are of imagination all compact:


「狂人、恋人、詩人というものは、みんな想像力の塊だ。」
   -----A midsummer Night's Dream: Act 5, Scene 1
このセリフ以前には、lunatic, lover, poetの話はひとつもでてきていない。だから、Theがあっても特定の一人の詩人や「話題になっているあの恋人」の事をさしているのではなく、「詩人全般」、「恋人というもの」。現実にはいろいろな「恋人」がいるのに、無条件でtheを付ける事で、「恋人」と聞くと万人が思い浮かべる個体差を越えた本質の事だよ、といっている。

作品の背景
夏至の夜、二組の若い恋人達が妖精たちに一晩中翻弄される。翌朝、その不思議な話を聞いた公爵シーシュースは、その話を、恋人たちの想像力が見せた幻想と思い、このセリフをはく。シェークスピアの詩人論としても有名な個所。
本当に余計な事ですが、Lunaticは月(Luna)からきているそうです。ヨーロッパでは月の光を浴びるて起きると考えられていたらしい。

この作品のタイトルを昔は「真夏の夜の夢」と訳していましたが、誤訳です。最近は「夏の夜の夢」とすることが多いようです。midsummerには「真夏」の意味もありますが、もう一つの意味があって、この場合は「夏至」です。夏至の晩には妖精たちのパワーが最大になるというヨーロッパの伝説がベースになっている話で、夏至の日の一晩の物語です。国によって気候はちがうにせよ、6月下旬を真夏とよぶことはできないでしょう。



The violet smells to him as it doth to me.

「王様(him)だって、スミレの香りは、おれと同じ様に匂う。」
   ----Henry V Act.4, Scn.1
ヘンリー5世らら。これも、このセリフ以前には王様の話はでてくるが、violetの話は全くでていない。だから、目の前の手にとれる特定のスミレの花、限定された「このスミレ」「あのスミレ」ではない事が判断できる。従って、植物の種類名としてのスミレ、「スミレの花というもの」という意味になる。もちろん書き手が正しくtheを使っているはず、という条件がつくけど。

背景
英仏百年戦争の中でも特に名高いアジンコートの戦い前夜、圧倒的なフランス軍を前に英国軍は敗北の予感に沈む。ある英国兵卒が、王様はこの状況をどう思っているんだろう、というと、別な兵卒が、このセリフを言って、王様だっておれたち同様恐ろしく感じるに違いない、という。

実はこのセリフを語っているのはお忍びの国王ヘンリー5世で、観客は「おれと同様」という言葉を別な意味で捉える事ができます。



The scientist must be logical.
この文章よりも前にscientistの話がでていなければ、実在で特定の人物でなく「科学者という連中」。個人差は無視され、科学者に共通する性質として。(そうとも限らないが。)ところが、もしこの文章の前に、ある科学者の話ができていれば、ちょっと分かりにくくなる。「その科学者は論理的な人物に違いない。」という意味かもしれなりし、「(この科学者を含め)科学者というのは論理的な人種にちがいない。」といっているのかもしれない。どちらかは、全体の文意で判断する必要がある。当たり前だが、文章の意味は規則だけでは決まらない。何語だって同じこと。



Urecy is the gentleman.
上と同じで、「絵に描いたようなgentlemanだ」といったところ。典型のthe。

また余計なことだが、日本語の「紳士」と英語の「gentleman」はずいぶん違う。父親がgentlemanでない限り、gentlemanになるのはほぼ不可能。徳性ではなく血統の問題で、人種といってもいい。「紳士」ではなく「貴族」と訳した方がまだ近い。だから米国にはgentlemanはいない。 だから、いまどき「イギリスは紳士淑女の国」なんて簡単にいってはいけない。当然の事ながら大部分の英国人は貴族ではないから。
また、大会社の社長であっても、給料をもらっているようではgentlemanではない。英国人作家がかいた小説に次のようなセリフがある。「私が会社の役員をやっているからといって、gentlemanではない、とは思わないでくださいよ。」 本物のgentlemanは自ら働く必要がないからだ。



The pen is mightier than the sword. --- and considerably easier to write with.
   Marty Feldman
机の上にある「そのペン」とか実在する手に取れる特定のペンや剣ではなく、「ペンというもの」「書くための道具」「書くという事」。theがついて手にはとれない抽象的な概念になった。



The painting is almost the natural man.

「絵に描かれた人間こそが、ありのままの人間の姿といっていい。」
----Timon of Athens Act.1, Scn.1
実在する1枚の絵や特定の人物ではなく、「絵(にかかれた人間)というもの」、「人間の本性」のこと。


The happy man is the man who lives objectively, who has free affections and wide intrests.
「幸福な人とは、客観的な生き方をし、自由な愛情をもち、興味の巾が広い人物である。」
----- The Conquest of Happiness, B. Russell



The deveil can cite Scripture for his purpose.

「悪魔も必要があれば聖書(Scripture)を引用する。」
----Merchant of Venice Act.1, Scn.3



その他の代表、種類全体、総称の表現

In these years, the multipolar ordering material has received much attention.


In these years, multipolar ordering materials have received much attention.

In these years, a multipolar ordering material has received much attention.

theは他の二つに比べてずっと硬い表現なので普通は使わないが、論文には使えるかもしれない。シェークスピアにも出てくるのだから、会話には古風すぎるのだろう。普通の文章や会話では複数形が一番自然なので、悩んだら複数にしておけばいい。一方、単数形は子供にも分かる平易な感じだそうな。実は、総称の時はtheを使うな、と書いてある教科書もある。
この場合のaは、「ひとつの〜、ある〜」ではなくて、たくさんあるうちのどのひとつをとっても「同じ」という意味を含んでいて、そこから総称に使える。「同じ」の例を参照。



The neutron is a powerful prove for the study of condensed matter.

A neutron is a powerful probe for the study of many materials

A neutron is an uncharged (electrically neutral) subatomic particle with mass 1,839 times that of the electron.
Neutrons have the ability to prove both atomic level structure and dynamics.

Neutrons are produced by the spallation process.

Neutron scattering gives detailed information about the microscopic behaviour of materials.
「中性子は役に立つ」という説明で、「中性子」は可算名詞になっている。「中性子散乱」は不可算名詞だな。
ISIS, Rutherford Laboratory(英国)の2004年版パンフレット、Webサイトから引用



Urecy collects stamps.
「切手を集めている。」


Yo is afraid of dogs.
「Yoは犬が怖い。」犬全般が嫌いなのであって、全部の犬のうちの一部が怖いわけではない。じゃあ、一部の犬だけが怖い、(嫌いなのもある)といいたい時はなんというかというと、I am afraid of some kinds of dogs.とかだけど、この文型も使えるから困る。つまり文脈で判断しろ、って事かな。


I love cars.
「車が好き。」TVコマーシャルでのベッカムのセリフ。
ベッカムの英語ってマンチェスター訛りがきついような気がする。Take Thatほどではないけれど。(マンチェスター・リバプール英語というと、「サンキュー ベリモッチ」とか。)


Boys will be boys .
E. Bulwer Lytton、「The Caxtons」から
「男の子というものは、やっぱり男の子だ。」、意味が分かりにくいが、男と女は違う、男の方がすぐれている、といいたいらしい。古風な男尊女卑の考え方。
現在の小説とかでは女性が使うときもあって、たとえば、女性には理解しにくい男の行動をみて、「男ってそういうものよ。」とか「男ってどうしょうもないわ」とか。


A dictionary of Angels .
図書館でみつけた「天使辞典」の原題。ただし、全部の天使がのっているわけじゃない、という意味かも。a dictionaryってのも気になる。



単数もある。

A wise man changes his mind, a fool never.
「賢い人は意見を変えるが、愚か者はけっして変えない。」
a wise manで「賢い人というもの」と一般的な意味になる。(英国のことわざ)



An elephant is an animal that lives in tropical and subtropic regions.
an elephantで種としての「象」「象という種類の動物」。べつに一頭の象だけが熱帯にすんでいるわけじゃない。しかし、

Once upon a time, an gentle elephant lived in a valley alone.
こちらは実在する「1頭の像」。結局、読み手が前後を読んで判断しないといけない。



A dragonfly is a useful insect
「とんぼ(という昆虫)は益虫だ。」



CONNOISSEUR, n. A specialist who knows everything about something and nothing about anything else.
「鑑定家: あるひとつの事については何でも知っているが、それ以外については何ひとつしらない専門家」
Ambrose Bierce, The Devil's Dictionary



The sun never sets on the British Empire because God wouldn't trust an Englishman in the dark.
--- Duncan Spaeth

大英帝国に日の沈むことはない。だって、神は、暗やみでイングランド男がなにをしでかすか信用してなかったからな。

(前半は、大英帝国の偉大さを称えて本当にいわれていた言葉。世界中に植民地があったので、どこかは昼だったから。
ところで、becauseの前にコンマがないな。darkの前のtheもきになるな。)


A conservative is a man with two perfectly good legs who, however, has never learned to walk forward.
Franklin D. Roosevelt,(第32代米大統領)
    


There must be an angel.
ユーリーズミックスの曲名。総称かどうか、ちょっと微妙。



I am but mad north-north-west: when the wind is
southerly I know a hawk from a hernshaw.

「私が狂っているのは、南南東の風が吹くときだけだ。南風の時は、私にだって鷹と鷺の区別ぐらいつくさ。」
-----Hamlet, Act. 2, Scn.2



What is a man,
If his chief good and market of his time
Be but to sleep and feed? a beast, no more.

「人間とは何だ、もし食べて寝る以外なにもしないとしたら?そんなのはただの畜生にすぎぬ。」
-----Hamlet, Act. 4, Scn.4

実は、これは総称のaではないかもしれない。「食べて寝る事だけに人生を費やしているある男」を想定しているかも。「そんなやつは人間じゃない。獣だ。」つまりハムレットの事だけれど。



What a piece of work is a man!

「人間とはなんとすばらしい作品であることか。」
----Hamlet Act.2, Scn.2
a manで「人間」の総称になっている。なお、workは無冠詞の集合名詞で「制作物、作品」など。



What is a cynic? A man who knows the price of everything, and the value of nothing.

「皮肉屋とは? あらゆる物の値段はしっているのに、価値は全然わからないやつ。」
Oscar Wild Lady Windermer
a cynicで「皮肉屋というもの」 価値があろうとなかろうと、何にでも悪口をいう、って事かな。



A friend in need is a friend indeed.
英語の慣用句らしい。「こまっている時の友が本当の友」ってとこかな。


An inventor is a person who makes an ingenious arrangement of wheels, levers and springs, and believes it civilization.

Ambrose Bierce, The Devil's Dictionary, (Dover Publications, NY, 1958, p 70.)
「悪魔の辞典」の定義は、ほとんどがこの形


I am willing to love all mankind, except an American.
Sammuel Johnson


この用法で困るのは、ある特定の人物を差している場合でも、同じ文型になる事です。上の例文だって前後がないから、「アメリカ人全部」なのか「Johnsonが以前会った事がある、あるアメリカ人」なのかは、実はわからない。

Once upon a time, an Aka-oni who were quite gentle lived in a mountain.
「昔々、ある山に心のとてもやさしい赤鬼さんが住んでいました。」
これは総称ではなくて、ある赤鬼さん。
前 冠詞index 次
Top pageへのリンク

[接続詞][副詞][前置詞][動詞] [類義語][冠詞][時制][関係代名詞][分詞構文][比較][否定][典型文][文章][参考書]