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the がかならずつく場合



fact, possibility


the fact that an magnetic ordering is realised at 50K indicates that~
この場合は同格のthatなのでa fact でも文法的には正しいが、どうもそうはいわないらしい。

同格のthatとは、 factを限定しているのではなく、内容を説明しているthat節。だからthe fact = that節。他にthe possibility thatなど。関係代名詞なら、いくつかあるfactのうちの一つを選択するできるように限定する文章になっているはず。

意味からかならずtheがつく形容詞


only, same, following, preceding, next, first, second,,,

the only compound which shows a field-induced magnetic transition is .....

the first point we should point out is that ......

最大、最小、中央など、一つしかないもの


The most important character is its large effective electron mass.
This compound has the highest transition temperature in this system.
初めて出る言葉でも、最大や最小の物は一つしかないから、theがつく。



The Piglet lived in a very grand house in the middle of a beech-tree, and the beech-tree was in the middle of the Forest, and ....
Winnie-the-Pooh Chapter 3, A.A. Milne

「くまのプーさん」でコプタ初登場の場面。章の冒頭の一発目の文で、当然、この文の前に文はない。さて、問題はthe middle。物の端はいくつかあるかもしれないけれど、middleはひとつしかないので、初めて出る言葉だがthe middle と定冠詞が必要。Nami went to the city centre.とかも。

一方、最初のbeech-tree(ブナの木)は初出なのでa beech-treeだが、その後は「コプタの家のあるbeech-tree」と一本に限定されたのでtheでないといけない。それをaにすると、「コプタの家のないbeech-tree」になるか、少なくとも読み手が混乱する。the Forestは、ここには森はひとつしかない設定なので。



the filling of a sandwich
サンドイッチの具。なんかの料理の本から。
サンドイッチは初出なら当然a sandwichだけど、その2枚のパンの間にはさまっているもの全体がfillingだから、限定できるんだろうな。だいたいサンドイッチって数えられるとは知らなかった。

こんな短い言葉でも、学ぶことはできます。



This is the beginning of a beautiful friendship.
米映画:Casablanca
御存知、カサブランカの有名なラストシーン。普通は「ある事柄の始まり」はひとつしかないから必然的にtheでないといけない。一方、この友情はたくさんあるひとつの友情、友人関係にすぎないからa。(もっとも、友情が数えられる事が奇妙だ。)フランス人署長の目の前でドイツ軍将校を射殺したリック。しかし、署長はリックを逮捕せず、部下の警官に見当外れの指示をだす。二人きりになったとき、署長がリックに向かってこのセリフをはく。

しかし、beginningだから自動的にthe beginnigになるかというとそうでもなく、a beginnigといいたければいってもいい。「はじまりにもいろいろあるが、これもそのひとつ。ありふれた始まり」なんて感じになるはずです。未確認ですが。



あれ?
教科書的には「firstならtheがつく」のですが、次のようなタイトルの本をみつけてしまいました。

A first course in Crystallography.
by A. Windle
(結晶学の第1歩)

本のタイトルでうっかりするやつはいないでしょうから、こういう使い方もありなんでしょう。これもやはり、firstだからtheと機械的にきまるのではなく、著者が唯一の第1歩と思っているかどうか、が問題のようです。結晶学の勉強の入り口はいくつもある、この本はそのひとつ、ってことかな。


結局、普通じゃない使い方があるだけで、まちがった使い方ってのは存在しないのだとおもう。言葉は人が使うものであり、人が発した以上、ある学派の文法法則にあっていようがいまいが、それは生きた言葉。

初出でもすぐ後ろで限定される場合


the compound DyB2C2
the tetragonal system RB2C2

(tetragonal:結晶構造の一つで、正方晶)


the poet Rilke :詩人リルケ

    「秋の日のヴィオロンの〜」


次も可
the RB2C2 system
the Kondo effect


後ろから関係詞で限定されている場合もtheが必要。でも、関係詞で修飾されているからといって、かならずtheなわけではない。
関係詞と冠詞の解説へ。

理由もへったくれもないtheがあったりなかったり


I often listen the radio, but seldom watch television.

the radioだけど、特定の1台のラジオのことではなくて、「ラジオを聞く」という行為のこと。なんかの教科書で、昔はラジオは一家に一台しかなかったから、と得々と説明しているのがあったけど、どうだろ。その可能性はあるけれど、むしろ抽象のtheじゃないのかな。じゃ、テレビはどうよ?

ところで、こういうとき勘違いしちゃいけないのは、「ラジオにはtheがつくけどテレビにはtheがつかない」とか機械的いおぼえちゃいけないってこと。人の言葉なんだから、当然いろんなことがあり得る。

Could you turn off the television, please?

「その(今うるさく鳴っている)テレビのスイッチをきってくれませんか?」


I often go to the cinema, but seldom go to the theatre any more.

これも、特定の映画館や劇場を指定しているのではなく、「映画をみにいく」「芝居をみにいく」という行為のこと。でもこれは、昔は街に一個しかなかったから、とかいうあたりからはじまっていそう。ロンドン橋が昔はthe bridgeってよばれていたようなものかもしれない。
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